海外PhDと日本PhDの違いとは?就職・研究・お金・生活を徹底比較

博士課程の生活

こんにちは、みのりです🌿

このブログではこれまで、博士課程での生活や就職活動についても書いてきましたが、
今回はたまにご質問いただくテーマ、「海外PhDと日本PhDってどう違うの?」という話をしてみようと思います。

実は私、修士から博士に進学するときに、海外(アメリカやヨーロッパ)の博士進学も本気で検討していました。
実際に筆者は海外大学院の博士進学にも出願して、オファーもいただいたのですが、最終的には日本の博士課程に進むことを選びました。

この記事では、当時の私が悩んだポイントや調べたことをもとに、
お金・研究・就職・生活の4つの視点から、日本と海外のPhDの違いについてまとめてみました✍️

ただし、ここで書いているのはあくまで私自身の経験に基づいた話です。
専攻分野や研究室の方針、制度によって状況は本当にさまざまなので、
「へえ〜そんなケースもあるんだな」くらいの感覚で読みつつ、
実際に進学を考えるときは、自分でもしっかり調べて判断してみてくださいね◎


1. お金について:収入と学費の話

海外PhDの場合(アメリカ・ヨーロッパ)

海外のPhDでは、RA(リサーチアシスタント)やTA(ティーチングアシスタント)として雇用されることが多く、給与をもらいながら研究ができる環境が整っています。
学費も免除されることが多く、生活費も大学から支給されることが一般的です。

ただ、そのぶん「雇われている立場」になるので、自由に研究を進めるというよりも、決まった仕事をこなす義務がある場合も多いです(これについては次のセクションで詳しく)。

日本PhDの場合

「博士=お金がない」というイメージ、まだまだ根強いですよね。
でも最近は、学振(がくしん)や卓越大学院、RA制度などが整ってきていて、以前よりもかなり改善されていると感じています。授業料についても基準を満たせば免除になることも多いです。

私のまわりでも、無収入で博士課程を続けている人は少数派。
工夫すれば、ある程度安定した収入を得ながら博士生活を送ることもできます◎

【2025年最新】博士課程の収入・支援制度を徹底解説|学振・卓越・RA・JASSOの比較と注意点


2. 研究の自由度:テーマの決め方や進め方

海外PhDの場合

「博士課程=自由に研究できる!」というイメージ、ありますよね。
でも実際は、海外PhDではRAとして雇用されていることが多いため、PI(指導教員)の研究プロジェクトの一環として働くことになるケースが少なくありません。

つまり、自分で自由に研究テーマを決められるわけではなく、研究室の方向性や資金元の制約を受けやすいです。

日本PhDの場合

日本でも分野や指導教員のスタイルによって変わりますが、
たとえば学振などで自分で資金を獲得できれば、かなり自由に研究を組み立てていくことが可能です。

私自身も、自分の関心に沿って研究を進められていて、「裁量がある」ことのありがたさを感じています🌿


3. 就職について:博士号の価値はどう見られる?

海外PhDの場合

欧米では、博士号は「高度専門人材」として評価される傾向が強く、企業・研究所・官僚・シンクタンクなど幅広い就職先があります。
「PhDだからこそ採用したい」という企業も多く、選択肢が広がります。

日本PhDの場合

博士卒で企業に就職する人は、ここ数年でかなり増えてきました。
特に理系分野では、データサイエンスや製薬、エンジニアなど多様な分野での需要があります。

ただ一方で、修士卒と待遇がほとんど変わらない企業も多いのが実情。
海外に比べると、博士号の価値がまだ十分に認識されていない業界もあるのが残念なところです。

博士課程の就職活動|進路はアカデミアか民間か?


4. 生活の安定性

最後に、進学先を選ぶときに意外と見落としがちな「生活そのもの」についてです。

海外PhDの場合

海外で研究をする=「外国人として暮らす」ということ。
語学や文化の違いはもちろんですが、ビザの問題や政治の変化にも影響されやすいです。

最近では、ハーバード大学が外国人の博士課程受け入れを一時停止したというニュースもありました。
→ NHK記事はこちら

このように、自分ではどうにもできない「国の都合」で、急に研究生活が不安定になる可能性があることは、覚えておいた方が安心だと思います。

また、留学となると、家族や友人、恋人と離れて一人で暮らし、新しい土地で生活を立ち上げる必要もあります。
大変なこともありますが、そのぶん世界が広がるのも確かです🌍

日本PhDの場合

やっぱり、日本に住んでいる安心感は大きいです。
言葉の壁もなく、制度も比較的安定していて、日々の生活や研究環境に大きな揺らぎが起きにくいのはメリット。

医療や住宅、言葉の壁などを気にせず、研究に集中しやすい環境はありがたいなと日々感じています。


5. 女性比率とジェンダー環境の違い

進学を考えるうえで、研究環境におけるジェンダーのバランスや雰囲気も気になるポイントですよね。

私の体感としては、アメリカやヨーロッパのPhDでは、日本に比べて女性研究者が多い印象があります。
背景としては、これらの国ではアファーマティブ・アクション(積極的格差是正措置)が早くから導入されていて、
女性やマイノリティが進学・採用されやすい制度的な後押しがあったことが影響しているようです。

一方、日本では博士課程に進む女子学生の割合はまだまだ少なく、
進学を考えたときに「やっていけるのかな…」と不安に感じてしまう人も多いかもしれません。

私自身も、進学前には同じような気持ちを抱えていました。
今まで女性ならではの視点で感じた博士課程の魅力や、日本のアカデミアで抱いたモヤモヤについて書いた記事も書いています。
同じように悩んでいる方に、ぜひ読んでもらえたらうれしいです👇

博士進学を迷う女子学生へ|進んでよかった理由
アカデミアの女性限定公募について|女子博士学生としての迷いと、今考えていること


海外PhDと日本PhDのざっくり比較まとめ

特徴海外PhD(アメリカ・ヨーロッパ)日本PhD
経済的支援◎ 給与あり・学費免除が一般的○ 学振・RA・奨学金など充実しつつある
研究の自由度△ 雇用される立場でテーマに制約がある場合も◎ 資金を取れればかなり自由に進められる
就職の幅◎ 博士が高く評価される文化○ 企業就職も増えているが、評価の差あり
生活の安定性△ ビザ・制度の変化に影響されやすい◎ 制度が安定していて暮らしやすい

おわりに

ここまで読んでくださって、ありがとうございます🌷

日本のPhD、海外のPhD、それぞれに良いところと課題があります。
どちらが「正解」ということではなく、自分の価値観や目指す将来像に合っているかどうかが、いちばん大切だと思います。

私はいろいろ悩んだ末に、日本の博士課程を選びましたが、今はその選択に満足しています。
自分のペースで研究を進めながら、無理なく、でも着実に前に進めている実感があります。

進路に迷っている方の参考になればうれしいです。
もし質問やリクエストがあれば、お気軽にコメントやSNSで教えてくださいね🐤✨


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